2004.01.03

文献アーカイブス('92~)

小川紳介と小川プロダクション、およびその作品について書かれた文章を掲載する書籍、雑誌、小冊子の中から、1992年以降に刊行されたものを紹介しています。

|

ドキュメンタリーは嘘をつく

『A』『A2』で知られるドキュメンタリー作家、森達也監督のドキュメンタリー論考集。2002年から2003年にかけて草思社のPR誌「草思」に森監督が連載した文章を元に構成されている。各所に小川紳介の名前が散見できる。また、「第13章 ドキュメンタリーは嘘をつく」の中では「明らかに記録映画は『劇』なんですよ。絶対に事実じゃない・・・・」に始まる小川紳介の言葉も引用。

uso

森達也著 2005年3月発行(草思社)

|

聞こえてますか、映画の音[サウンド]

日本屈指の録音技師にして、小川映画のほとんどの作品にその名がクレジットされる久保田幸雄氏。本書はそんな久保田氏の足跡を氏自身のエッセイとインタビューで綴る回顧録。「第一章 劇映画の録音」「第二章 ドキュメンタリー映画の録音」「第三章 インタビュー」「第四章 黒澤明監督『酔いどれ天使』の音の世界」「第五章 久保田幸雄フィルモグラフィ」の全五章構成。

小川映画については、第二章の中で『青年の海』『1000年刻みの日時計』『満山紅柿』の三作品に関するエッセイを収録。技術的な話もさることながら、本書の中で久保田氏が「小川ちゃん」と呼ぶ小川紳介との出逢いやその関係性、撮影現場でのエピソード、映画作りに対する熱気や苦労がストレートに伝わる内容。第三章に収録されるインタビュー原稿の中でも半生を語りながら、小川紳介との仕事について触れている。

kubota.gif

久保田幸雄著 2004年10月発行(ワイズ出版)

|

映画狂人最後に笑う

映画批評家、蓮實重彦の「映画狂人シリーズ」第10弾にして最終巻。「IV映画を選ばせられて」の章に収録される「戦後日本映画100選」のなかで、1971年のベスト2作品のうちの1本に『三里塚・第二砦の人々』を選出。また「日本映画ベスト5(78~84)」でも、1982年のベスト5の1本に『ニッポン国古屋敷村』を選んでいる。

kyojinwarau

蓮實重彦著 2004年9月発行(河出書房新書)

|

広告批評 2003年10月号

ドキュメンタリー映画特集号。森達也、是枝裕和、土屋登、小林貴裕、佐藤真、河瀬直美、原一男らのインタビューを掲載。各氏の発言の中に小川紳介の名前が散見できる。

また、「ドキュメンタリー90年代以降」と題する映画評論家、大久保賢一のテキスト、「山形から世界のドキュメンタリーを見る」と題する山形国際ドキュメンタリー映画祭東京事務局長、矢野和之のテキストも収録。

koukoku.GIF

2003年10月発行(マドラ出版)

|

映画の政治学

7人の専門家(長谷正人、斉藤綾子、中村秀之、飯岡詩朗、ミリアム・ブラトゥ・ハンセン(畠山宗明訳)、藤井仁子、北小路隆志)の論文によって構成される本書。編集の意図を編著者のひとりである長谷正人は、「はじめに」で次のように表明している。「映画を政治的に語ること。映画をめぐる日本の言説空間に『政治』を導入すること。私たちが本書で企画していることは、この簡明な表現にほぼ尽きているといえよう。」

小川紳介、および小川プロに関しては、第7章に「反到着の物語--エスノグラフィーとしての小川プロ映画」と題する北小路隆志の論文を収録。小川映画に共通する導入部において見せる「いきなりさ」=「対象との『出会い』の場面を描かない。つまり『到着の物語』は割愛もしくは排除される」(本文より)を、反到着の物語と位置づけその論を展開する。

seijigaku.gif

長谷正人/中村秀之編著 2003年9月発行(青弓社)

|

ユリイカ 2002年7月号

漫画家、高野文子の作品と小川映画の隣接性を指摘する批評家、阿部嘉昭の評論「高野文子のマンガはなぜ速読ができないのか」を掲載。

eureka.GIF

2002年7月発行(青土社)

|

帰ってきた映画狂人

映画評論家、蓮實重彦の「映画狂人」シリーズ第3弾。風琳堂刊『シネアストは語る――5 小川紳介』に発表された「小川紳介の映画を語る(講演)」を再録。

kyojin.GIF

蓮實重彦著 2001年2月発行(河出書房新社)

|

ドキュメンタリー映画の地平(上)

『阿賀に生きる』『SELF AND OTHERS』などで知られるドキュメンタリー映画作家、佐藤真監督が著した上下二巻組のドキュメンタリー論集。上巻第一章「暮らしながら撮る」に、「スタッフと共同生活を続けながら撮る・小川紳介」の項を設け、作品論と作家論を展開。

makoto.GIF

佐藤真著 2001年1月発行(凱風社)

|

映画作りとむらへの道 福田克彦の仕事

目次
◆はじめに 「映画作りとむらへの道」復刻までのこと/波多野ゆき枝
◆批評.1 ポスト小川プロ的な映画作りにむけて/北小路隆志
◆批評.2 福田克彦の映画作りと小川プロへの道/阿部マーク・ノーネス
◆対論.1 山形国際ドキュメンタリー映画祭オープニング上映に際して/飯塚俊男×阿部マーク・ノーネス
◆エッセイ きちんと別れるために/福田克彦
◆対論.2 福田克彦、ひとつの対話「河瀬直美のリアルを探して」/福田克彦×河瀬直美
◆「映画作りとむらへの道」シナリオ採録
◆福田克彦フィルモグラフィー&バイオグラフィー
◆福田克彦作品解説

eigazukuri.GIF

2000年11月発行(福田克彦作品ライブラリー)

|

<社会派シネマ>の戦い方

冒頭、以下の3つのテーゼを措定。

『〈社会派シネマ〉は「現実」である』
『〈社会派シネマ〉はひとつの正義を代弁=再現することを拒絶する』
『〈社会派シネマ〉は個的、集団的な「特異/固有性」を解放する試みである』

これを足がかりに、評論家の北小路隆志、水原文人を始めとする22人の筆者が、「〈社会派シネマ〉問題作17」「1970/2000年を代表する社会派作家たち」「〈社会派シネマ〉の戦い方/マクロ編・ミクロ編」「〈社会派シネマ〉を面白くする8つの視点」といった主題についてその論を展開する。

shakaiha.GIF

北小路隆志+水原文人+編集部[編] 2000年5月発行(フィルムアート社)

|

日本映画の巨匠たち III

映画評論家、佐藤忠男の大著「日本映画の巨匠たち」シリーズ。その第三巻に小川紳介を収録。作家のプロフィールと作品論とを併置しながら、映画作家「小川紳介」の輪郭を鮮やかに描き出す。

kyosho.GIF

佐藤忠男著 1997年1月発行(学陽書房)

|

映画の貌

映画評論家、山根貞男の映画論集成。本書は全6章の構成。各章の見出しは次の通り。

I 見えない映画
II 日本映画の新しい現場へ
III 小川紳介のために
IV 映画を読む
V 映画・人・出来事
VI 映画1983→1995

小川紳介論に充てられた第III章には、次の6編のテキストが収録されている。
「最後の小川紳介」
「ドキュメンタリー映画と劇映画の境」
「闘いとしての円居から宴としての団居へ『三里塚・辺田部落』ノート」
「小川紳介の〈声〉について」
「60年代日本映画と小川紳介」
「60年代ドキュメンタリー映画の軌跡 PR映画から映像ゲリラへ」

なお、「最後の小川紳介」は、『FLEX 1992年7月号』『FLEX 1992年8月号』に発表されたテキストを再録。

sugata.GIF

山根貞男著 1996年4月発行(みすず書房)

|

映画に目が眩んで 口語篇

1977年~1993年に映画評論家、蓮實重彦が行った講演と対談の記録。このなかに小川紳介を追悼する「キャメラの向こう側に身を置いた瞬間、小川紳介は人間であることを止めた」と題するテキストを収録。

kurande.GIF

蓮實重彦著 1995年10月発行(中央公論社)

|

淀川長治映画塾

小川紳介を語る――あるドキュメンタリー監督の軌跡』(フィルムアート社)に収録される「小川さんには本当に土の匂いのする「楢山節考」をぜひ撮ってもらいたかった。」を、「小川紳介土の匂い」と改題して再録。(若干の異同あり)

yodogawa.GIF

淀川長治著 1995年2月発行(講談社)

|

映画素志 自主ドキュメンタリー映画私見

詩人にして映画作家、また映画評論家としても名高い鈴木志郎康の著作。〈作品論〉〈作家との対話〉〈状況論〉〈作家論〉の4章を設け、自主製作ドキュメンタリー映画論を展開する。

小川作品に関しては〈作品論〉に、「日本解放戦線・三里塚の夏」「小川プロ全作品」「三里塚全作品」「ニッポン国古屋敷村」「1000年刻みの日時計」「HARE TO KE」「映画の都」を収録。

〈作家との対話〉には、小川紳介を始め、伏屋博雄、飯塚俊男、田村正毅ら小川プロ・スタッフ各氏の発言が興味深い「座談会・小川紳介+小川プロ・スタッフ/生物の固有性と不規則性を掴み、その官能をぶつけたい――『1000年刻みの日時計 牧野村物語』をめぐって」を収録。

〈作家論〉には、『1000年刻みの日時計』に即しながら、小川紳介&小川プロの作家性に言及する「稲作を営む人々の共同幻想を語る映画/小川プロ作品『1000年刻みの日時計 牧野村物語』を考える」を収録する。

soshi.GIF

鈴木志郎康著 1994年8月発行(現代書館)

|

ある映画作家の旅/ロバート・フラハティ物語

ドキュメンタリーの父と呼ばれ、『極北のナヌーク』『アラン』などの傑作を遺したロバート・フラハティ。本書は、彼の生き方やその映画手法をテーマに語られた、フランシス・フラハティ夫人の講演録。最晩年の小川紳介が翻訳を担当。本文もさることながら、「訳注」が読み応え充分。ひとつの事項について、ときに数ページを裂いて小川紳介の解説が続く。

併録される映画評論家、山根貞男氏の文章「見ること/見せることの度合い――ロバート・フラハティと小川紳介」に、小川紳介がどのような経緯で本書の翻訳に取り組んだかが詳しく解説されている。

flaherty.GIF

フランシス・H・フラハティ著・小川紳介訳 1994年6月発行(みすず書房)

|

シネアストは語る――5 小川紳介

名古屋シネマテークが刊行する「シネアストは語る」シリーズの第5弾。1988年7月14日から4夜連続で行われたワークショップ「小川プロの映画術」で、のべ16時間にわたって語り続けた小川紳介の講演を収録。当時52歳の小川紳介がみずからの足跡とその映画術を解説。ユーモアを交えた語り口が文面からひしひしと伝わる名著。

また、1992年6月13日の小川紳介全作品追悼上映会で「小川紳介の映画を語る」と題して行われた映画評論家、蓮實重彦の講演録も併録。

cineaste.GIF

名古屋シネマテーク叢書
小川紳介・蓮實重彦著 1993年10月発行(風琳堂)

|

映画を穫る・ドキュメンタリーの至福を求めて

目次
【写真構成 I 】
春の章
◆稲を撮る 心を描く
◆アジア、ニッポン、そして記録映画
◆ドキュメンタリーの至福を求めて
◆文部省審査と私の体験
◆「青の会」のころ
【写真構成 II 】
夏の章
◆大学闘争を捉える眼
◆三里塚――"農"と撮ること
◆同期性にこだわる現場主義
◆なぜ三里塚か
◆寿の人々を撮る
◆三里塚再訪と稲づくり
◆滅びるときにこそ文化が
◆辺田部落――村人へのラブレター
◆映画の旅――三里塚から牧野へ
◆十三年かかって映画を穫れた
◆土俗のなかの悪
◆見える見えないの関係について
◆物語る人の心をドキュメントする
◆ドキュメンタリーの現実感覚
秋の章
◆土に根ざしたエロス 石牟礼道子との対話
◆からだに刻まれたドキュメント 内藤正敏との対話
◆真壁仁先生と私たち
◆土方巽さんのこと"与き"のこと
◆残すはなし――上野英信追悼
【写真構成 III 】
冬の章
◆さらにアジア映画作家の交流を
◆風土の円錐から見えてくるもの
◆侯孝賢『恋恋風塵』によせて
◆彭小蓮さんのこと
◆アジアでフィルム・キャンプを
◆私論・戦後日本ドキュメンタリー映画史

◆フィルモグラフィ
◆年譜
◆編者あとがき

toru.gif

小川紳介著・山根貞男編 1993年10月発行(筑摩書房)

|

小川紳介を語る・あるドキュメンタリー監督の軌跡

目次
◆はじめに/伏屋博雄
◆三十年ほど前に浴びせられた小川紳介の総体が、その後の私たちを決定づけた。/梅田克己 山根誠 上野昂志
◆「圧殺の森」は、運動の内部にいて運動に寄生せず、独自な眼でそれを描いた。/大津幸四郎
◆キャメラの向こう側に身を置いた瞬間、小川紳介は人間であることを止めた。/蓮實重彦
◆「青の会」は、内外さまざまの映画の流れをキャッチし、それに刺激を受けながら私たちがいた。/土本典昭
◆PR映画の中で苦闘していた小川君は、映画作家として背水の陣で「青年の海」に突入していった。/黒木和雄
◆稲や農民の固有性を描くと言うことは、結局それを深く愛するということだ。/鈴木志郎康
◆禁欲的な部分と饒舌な部分が合わさっているところに、小川さんの映画の独特な体質がある。/佐藤真
◆そこにいる人たちと一緒にいたいという気持ちで、ともかくずーっとキャメラを回していた。/田村正毅 聞き手:松本正道
◆あらゆる二元性を乗り越える巨大な渦――小川紳介。/波多野哲朗
◆「どっこい!人間節」は、最初全然キャメラを回せなくて苦労したけど、その時間が大事だった。/奥村祐治 渡辺孝明
◆小川さんは、「1000年刻みの日時計」で、〈縄文〉の自由な精神的時空へと突き抜けた。/内藤正敏
◆小川プロの映画は、平面に退化する欲望と「待つ」ことによって成り立つ〈不足の映像〉である。/鈴木一誌 山根貞男
◆小川さんには、本当に土の匂いのする「楢山節考」をぜひ撮ってもらいたかった。/淀川長治
◆「1000年刻みの日時計」は、牧野村百戸を二百四十年ぶりに再生させてくれた。/木村迪夫 木村シゲ子 山根貞男
◆アジアの風「モンスーン」のようだった小川さんが、僕たちに遺していった課題は多い。/伏屋博雄 景山理 松本正道
◆小川紳介監督略歴〈映画新聞版〉
◆小川紳介と小川プロダクション全作品フィルモグラフィー
◆あとがき/松本正道
◆編集後記

kataru.GIF

映画新聞編 1992年10月発行(発行・映画新聞/発売・フィルムアート社)

|

映画芸術 1992年夏号

追悼特集「来るべき小川紳介」が組まれている。収録テキストは、映画評論家、田井肇の「越境の見事さとノセの上手さ」。医療人類学者、小林昌廣の「重力の生態学的考察」。美学・美術史批評家、丹生谷貴志の「茫然とし、そして恥じる」。映画評論家、松田政男の「『映画』一般の共和国に囲い込まないために」など。

geijutsu2.GIF

1992年8月発行(映画芸術新社)

|

FLIX 1992年8月号

「追悼/最後の小川紳介(下)」と題する映画評論家、山根貞男のエッセイを掲載。小川紳介との出逢い。トリノ映画祭に招かれイタリアを訪問した小川紳介が見せた溌剌とした振る舞い。小川紳介逝去後、東京に続いて山形牧野で行われた「お別れする会」の模様などを綴る。

flix8.gif

1992年7月発行(ビクター音楽産業)

|

FLIX 1992年7月号

「追悼/最後の小川紳介(上)」と題する映画評論家、山根貞男のエッセイを掲載。亡くなる前日に病床を見舞った時の小川紳介の様子。通夜と告別式、また、続いて東京お茶の水のアテネ・フランセ文化センターで催された「小川紳介とお別れする会」の模様などを綴る。

flix7.gif

1992年6月発行(ビクター音楽産業)

|

キネマ旬報 1992年5月下旬号

16頁のボリュームで、特別追悼特集「小川紳介の足跡」を掲載。朱天文・侯孝賢の弔文。山根貞男による田村正毅インタビュー。木村迪夫、伏屋博雄、景山理、各氏の証言。「映画『山に生きる子ら』について」と題する山根貞男の文章などを収録。

kinejun5.GIF

1992年5月発行(キネマ旬報社)

|

自然流「日本酒」読本

小川プロの演出部で長く活躍した後、1978年にフリーとなった福田克彦監督。本書は、そんな福田監督が著した日本酒の本。

「聞けば聞くほど、謎のひろがる日本酒の世界を知って、まんざら飲むのが嫌いとはいえないわたしと写真家の北井一夫は、友人の応援もあってちいさな旅を思い立ったのである。たったひとつ、酒の知識についてはまったくの素人、ということだけを武器にして、この不思議な日本酒の世界を探索してみようと。」(本文より)

nihonshu.GIF

福田克彦著 1992年4月発行(農山漁村文化協会)

|